■『ヴァージン・スーサイズ』 の原作

 「ヘビトンボの季節に自殺した5人姉妹」
   (原題:The Virgin Suicides)
ジェフリー・ユージェニデス著/(早川書房)

■一言で言うと。。。  えみさん:  この間「ヴァージン・スーサイズ」を見たら、キルス テン・ダンスト、めちゃくちゃ綺麗になっててクラクラしちゃいました。 映画は、えーと、まあまあでしたが、彼女見たさに何度も見直しちゃい ました(笑) で、ソフィア・コッポラが原作読んで自分で映画化したい!って思った くらいだから、小説の方がおもしろいんだろうと思って読んだんですが、 小説も結末がなんだか納得いきません・・・(T_T)  やっぱり映画より詳しいので「なるほど」と思うところもあったけど、 あまり好きな小説ではなかったなぁ。  Reiさん:  同感です。本の中で、ある老婆が・・・    「アメリカで、どうしても理解できないところは、        何故みんないつも幸せそうなふりをしているのか?」          ・・・このセリフが、心にひっかかりました。 ■ReiさんによるFAQ  Q.最後 父親が学校を解雇された理由はなんなのでしょう?  A.原作では、学校に子供を通わせている親達からクレームがでたと 書かれていました。「娘が自殺したのは、親の監理が不行届きだったせ い」だと、そんな教師に大切な子供を任せられない・・・というような 内容だったと思います。  Q.最後に4人姉妹とも自殺してしまう結末は なぜでしょ?  A.世間の人達が受け容れた、ホーニッカー医師の2番目の報告書   セシリアの自殺の結果、残ったリズボン家の姉妹は、外傷性ストレ ス障害に苦しむことになった。ALS(自殺に魅入られた若者)の姉妹 が、悲しみに向き合ううちに自殺的行為に出ることは珍しいことではな い。一つの家族の中で自殺が反復される率は高くなる。  Q.両親が厳しくて 挙げ句の果てには 学校休んでまで外出禁止になっ たから?そういう生活に耐えられなくなったからなのでしょうかぁ?  A.原作では、外出禁止ではなくて学校を辞めさせられていましたよ。   学校にも行けない生活は、想像するだけで辛いですよね・・・  Q.半ば監禁生活と同様の生活でもう 死んだも同然 ってかんじで肉 体をみずから滅ばせたのでしょうか?  A.原作ではメアリイは生き延び、薬物治療、心理テストや集中治療 を受ける。そして、ホーニッカー医師は、「自殺の衝動に駆られる子供 の血小板セロトニン受容体指数」がやや不足気味だったことを報告。し かし、退院したメアリイは、自宅で大量の睡眠薬を飲んで自殺してしま うのです。  えみさん:  あの両親との関係もかなり不気味ですよね・・。  映画の方で、ラックスがお昼を食べてる時にトリップが声をかけにく るシーンがありましたが、最初は友達と食べてるのかと思ったけど、よ く見ると4人姉妹でお昼食べてるんですよね。家に帰れば交際は制限さ れるし学校でも姉妹だけでいるなんて、そんな閉じられた関係ってすご く息が詰まるよなぁと思ったけど、小説読むとちょっと変わり者っぽく 描かれてますよねぇ?  姉妹の共通する特徴として歯並びの悪さっていうのが挙げられてるの もびっくり。アメリカ人って歯並びが悪いの嫌いなんじゃないの??(笑)  そこもまた神秘的ってことなんでしょうか? ■結末について  Reiさん:  その後も、いろいろな説が書かれていましたが、最 後には −姉妹の自殺の核心は、悲哀や神秘ではなく、単純な自己愛− というような感じで締めくくられていました。(P242〜243参照)  でも、語り手の「ぼくら」には、約二十年前の女の子達の自殺の真相 は、永遠にわからないと思うけどね、、、  えみさん:  そうそう、この結末は不思議。遺品を集めたり、何年後 かに町の人にインタビューしちゃうくらい彼女たちに憧れていたのに、 結末はやけに批判的ですよね。  『壁でカチカチ時を刻む時計、真昼も薄暗い部屋、そして自分のことし か考えない女の度し難さ。女の脳はほかのことではぼやけていても、苦痛 や自分だけの傷、失われた夢といった限られた一点ではぱっと燃え上がる。 すると、すべての愛しいものも、後景に退いてしまう』とか、そう一くく りにされちゃうと「そうなのかなぁ?」って気がしちゃうんですけど。  彼女たちのことを理解しようとしてるのは少年たちだけで、精神科医や 街の人たちっていうのは、分かったような顔をしてる大人たちって感じで 描かれてますよね。でも本当に理解できてるのかはReiさんと同じく疑 問。なんだか後味の悪い作品ですよね〜。ソフィア・コッポラはあの小説 読んでどこに共感したのかな?  それよりも興味深いのは、あとがきに出てくる小説の発想を得たエピソー ド。兄弟の家の家政婦に「私の家じゃ、姉妹みんなが自殺しようとしたこ とがあるのよ」と言われ即座に理由を問いただしても、「みんなプレッシャー を感じてたからね」と答えるだけだったっていう。そこから「静謐なる郊 外都市の内に秘められた言いしれぬ思春期のトラウマ」を洞察して書いたっ ていうんだけど、小説の中では『彼女たちが享年何歳だったかということ、 あるいは彼女たちが女の子だったということは問題ではなかったのだ』っ て文が出てくるし・・。  うーん、こういうの読むには(映画でも)ちょっと年取りすぎちゃった かな?と思う今日この頃(^-^;) 昔は思春期に誰もがぶち当たるようなエ ピソードとか見たりすると吐き気がするほど嫌なものとしてよみがえって きたのに、今じゃ「そういうこともあるよね」って程度だし・・・。セシ リアの言う「先生は13歳の女の子だったことはなかったでしょ」って台詞 も(映画だともう少し違ったかも)、昔は実感を持って感じられたけど、 若いとそういうこと言っちゃうよねぇってふうにしか思えないし。。 うーん、ま、いっか。10代ものはReiさんに任せたっ!>え?ダメ??(笑)


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