メメント


Kiwi@劇場は青少年で満杯状態だった、です。 新年映画鑑賞会では「メメント」を観ることになりました。 わたしは完全にノーチェック。ただ、「メメント」とはラテン語で "memory"の意味であることは知ってました。哲学や牧師の説教などで 「メメント・モリ」といえば「死を知りなさい」という意味の有名な言 葉。で、映画もそこから取ってるのだろうぐらいの漠然とした知識です。 アメリカでえらく受けたということらしいのですが、大人のわれわれの 間では2対1で「子供だましだ」という感想の勝ち。少数派の一人も「謎 解きパズル感覚で楽しかった」という大人のご感想。(笑) 簡単にあらすじを書いておくと、妻が殺されたことをきっかけに10分ほ どしか記憶を保てない精神障害になった主人公が、大量のメモやポラロ イド写真、そして入れ墨を駆使して、短い過去のことを覚えていない自 分に「記憶(メメント)」を伝えながら妻の復讐を果たす男の話。話は10 分ずつ、過去に逆流していく語り口になってます。 「訳が判らない話」という評判?があるらしく、ご丁寧にリピーターチケ ットなるものまでついておりましたが、この話のどこがわかりにくいのか はわたしにはサッパリ不明。既に酒が入っていたので半分ウトウトしなが ら観てましたが、どこにも不思議な展開も晦渋な部分もなく、むしろ困難 なテーマにもかかわらずシナリオのクリアさの方が際だっている作品と言っ ていいくらいでしょう。じゃなくて、単なるリピーター狙いの業界の新戦 術?(笑) 一応、褒める部分も書いておくと、映画的に一番上手かったのは、「不 審な相棒?」テディ役の俳優が、まじめ一本なのかうそつき野郎なのか サッパリ見当がつかない顔立ちをしていて、このキャスティングは見事 としかいいようがなかったです。 それと、面白かったという少数派が「ディックの小説を彷彿とさせる部 分がかなりある」と指摘してましたが、これはそのとおりでしょう。よ り具体的にいうなら、短編の「時間飛行士へのささやかな贈り物」―― 人類初のタイムトラベル飛行中にタイムマシンが故障して一定の時間の 輪の中に人類が閉じこめられてしまう時間事故の話/時間飛行士はメモを 介して周回遅れで同じ時間を経験する「自分」宛に状況のヒントを出し 続ける――と、長編の「逆回りの世界」――突如、時間が逆に流れると いう自然現象に見舞われ、年寄りが徐々に若者になり、最後は母の子宮 に帰っていく世界を詩的に描いた名作――を足して二で割ったような話 で、流麗に良くつじつまを合わせた、と褒めるべきでしょう。 けど、「だからどうした???」という結末で、これも教訓まったくな し。教訓なしで観るには描写が懲りすぎなので、どうせなら軽いタッチ で描いてもらった方が楽しめただろうと思われる作品でした。 _/_/ Kiwi _/_/ - Osaka,Japan- _/_/ Kiwi@do-z.net _/_/


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