「痴漢でぬれぎぬ」会社員が“被害”女性ら訴える



 電車内で痴漢行為をしたとして逮捕され、不起訴になった東京都国立市の会社員沖田光男さん(59))が19日、「不当な逮捕で、肉体的、精神的に苦痛を受けた」として、国と都、被害を訴えた女性の3者を相手取り、慰謝料など計約1100万円を求める訴訟を東京地裁八王子支部に起こした。

 訴状などによると、沖田さんは1999年9月2日午後11時ごろ、帰宅途中のJR中央線車内で、20歳代の女性に股間(こかん)を押しつけたなどとして、都迷惑防止条例違反の現行犯で警視庁に逮捕され、立川署に21日間拘置された。

 沖田さんによると、車内で携帯電話を使用していた女性に注意。女性が「分かったわよ」と答えるやりとりがあり、国立駅で下車したところ突然、警察官に呼び止められ、「おまえ痴漢しただろう」「女がやられたと言っている」などと言われて捕まったという。

 訴状では、家族の平穏な生活を破壊され、勤務先でも謝罪を余儀なくされて多大な屈辱を受けたとしている。記者会見した沖田さんは「事件で受けた傷は癒えず、同じ問題で悩む人のためにも白黒はっきりさせたかった」と語った。

 警視庁広報課は「捜査は適正に行われたものと考えるが、訴状を見ていないので詳細なコメントは差し控えたい」としている。

 日本弁護士連合会によると、痴漢被害を訴えた女性側を提訴した例は、昨年7月、東京簡裁で刑事事件の無罪判決を受けた男性が、女子高生と両親を相手に慰謝料の請求などを求めている訴訟(係争中)を東京地裁に起こした例がある程度という。

(4月19日20:33)


TITLE:YOMIURI ON-LINE/社会
DATE:2002/04/19 21:31
URL:http://www.yomiuri.co.jp/00/20020419i213.htm